被告と被告人

 先週はニュース見ててイライラしたなぁ。ニュースキャスターが「本日、堀江貴文被告の第1回公判前整理手続きが行われました」って言ってたんだけど、この短いセンテンスに間違いが2つもあるわけ。“被告”って民事で訴えられた人のことでしょ。刑事事件の場合は“被告人”のはずなのに。さらに、公判前整理手続きを“こうはんまえ・せいり・てつづき”って言ってたんだけど、正しくは“こうはんぜん・せいり・てつづき”でしょ。適当だなぁ、テレビのニュースって。ま、報道が正しいことだけ伝えてるとは最初から思ってないからいいんだけどさ。


上は今週の阿曽山大噴火コラム「裁判Showに行こう」からの引用。
刑事事件の場合は“被告人”。ごもっとも。
しかし刑事裁判の被告人を「○○被告」と呼ぶ(書く)のは一般に広く行なわれている。テレビのニュースがことさら適当というわけではない。新聞も「被告」と書いている。

goo辞書で「被告人」を引くと阿曽山氏の解説どおりの語義説明が載っているが、

ひこく-にん 【被告人】
刑事訴訟において、犯罪を犯したとして起訴され、訴訟が係属中の者。


この説明の下には「キーワード [ 被告人] を含むニュース」というコーナーがあり、18日現在3件のニュースがリンクされている。

これら3つの記事では「被告人質問」という裁判用語が使われているが、“被告人”については揃って「被告」と表記している。

慣用的に「被告人」が「被告」と称されていることは阿曽山氏も知っているはずだが、キャスターが「公判前整理手続き」の読みを間違えたという一点だけでテレビニュースの適当さを皮肉るのは無理があるので、あえてとぼけて、正しい用語法を指摘してみせたのかも。